記事一覧

【mou-kara Real Estate vol.4】

「佳作みたいな虹を着ている」那須ジョンひとの見る世界をそのまま見たいから色の名前は忘れさせてよ家を出て家に戻ってそれだけで着ているものはちゃんと汚れる唯一の才能 服を十数年かけて着続けられることしか詩だろうと生き様だろうとよくわからないものばかりを有り難がった恥ずかしいきもちを括りつけたまま貰い煙草で生きていきたいふるさとはカラリときれいになっていて踝にだけ蛞蝓はいるdéjà-vu(デジャヴュ)を脳の錯...

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【mou-kara Real Estate】2

「流れの遅い川」矢波多恵光だと思った へなへな白線の上をなぞってうちまで帰る川という結界を越えわが城は五メートルほど浮いて佇む約束を破ってしまった日の夜は空から細い針が降りだすあの人はB型だからとあきらめてくれたのならばこっちのもんだシャンプーとコンディショナーの均衡を気にしないなら他をあたって渦を巻く排水溝をじっと見る多分私は不安でいたい一分を計る尺度も違うのに同じ歩幅で歩こうとした少しずつずれ...

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「J列-21番 コーラ」

生まれてはじめて好きなひとと行ったデートは映画だった。彼は大きいサイズのポップコーンを買ってくれて、ふたりで一緒にそれを食べながら映画を観た。確か、人類が滅亡してしまった地球にひとり生き残った主人公が奮闘するハリウッド映画で、わたしはすこし泣いた気がする。静かなエンドロールが流れるなかでその余韻に浸りきって、すっかり隣に座るひとの存在を忘れていた。ぼんやりと劇場が明るくなってふと横を向いたとき、余...

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エンドロールの後の一瞬

まだ何かあるんじゃないかと期待するエンドロールの後の一瞬柔らかいティッシュは⽢い死神が君を⾒つけた⽇は晴れていた少しでも正しい⼈になりたくて⽩Tばかり増えていく夏逆光のせいにできずに聞き返す潮騒黙って、終わりたくない地下鉄が光の方に近づいてまた会いましょうと誓う うなずく新しい顔はもういい バタコさんきちんと死ねる心臓をくれ感情をあまり出さない君がする嬉しいときのへたなスキップほんとうにあたしでいい...

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【mou-kara Real Estate】1

「夜サバイバー」那須ジョン人類のすべてをこの眼で見送って、俺のバスだけ全然こないつり革に掴まって寝る人たちのゾンビのような向日葵のようなあか/きいろ/あか 出会うことの叶わない相手を思う点滅信号靴の先少しのところに人が寝ており、ああここが君の廊下か止まれの「止」の字はおそらく俺んちのベッドくらいの大きさ ほらな電柱になるしかなかったたましいよ俺が創った話を聴けよ「スクーターの鳴き真似します」「アヒ...

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